作法
湯道はただ風呂に入るわけではありません。華道、茶道に決められた美しい手順、所作、があるように、湯道にも「湯」「自己「他者」と深く向き合う為の作法が存在します。
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一、合掌
まず湯桶に向かってお湯に感謝します。全てはこの感謝の気持ちから始まります。
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ニ、潤し水
まずコップ一杯の水で水分補給をします。入浴によって水分が失われますから、非常に重要な行為です。
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三、衣隠し
衣類を脱いだ後、その衣服を風呂敷で覆います。この行為を衣隠しと呼びます。
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四、湯合わせ
湯桶で三度、湯をすくって体を清めます。三度目の際は、手拭いを湯桶に浸し、硬く絞ってから頭の上に乗せます。この時、湯加減(温度)を確認することが大切です。熱すぎたならば、湯もみをして温度を下げましょう。
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五、湯三昧
心を湯に集中して雑念を去り、没入します。自己と対峙することにより、心の垢が自然とはがれていきます。これを「洗心」とも呼びます。
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六、垢離(こり)
汗がじんわりと出てきたら、一度湯からあがり水をかぶります。これを「垢離」と呼びます。
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七、近慮(きんりょ)
最後の「垢離」を行ったのち、水に浸した手拭いをかたく絞り、体を拭きます。左手で湯桶を固定し、右手で内側の汚れを確認しながら湯桶を洗います。そして最後に、湯桶を逆さまにして響石に一度だけ当て、残っていた水を切ります。次に入浴する人のために、整えるのです。これを総称して近慮と呼びます。ここでの近くとは、「次に入浴する人」を意味します。
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八、風酔い
風呂からあがった後、風を感じることで現実にゆっくりと戻ります。先ほどまで感じることのできなかった微風を、ここではさっと感じることができるはずです。ここでかき氷などを味わいます。
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九、合掌
最後はやはり、湯への感謝の気持ちです。